海外で働くことを考えるとき、給料・ビザ・寮の話はよく出てきます。でも「向こうで体調を崩したらどうなるのか」を先に調べる人は、あまり多くありません。
数ヶ月にわたって暮らすとなれば、体調を崩すことは普通にあります。慣れない気候、時差、共同生活。とくに最初の1〜2週間はきついです。そのときに保険が使えるかどうかで、負担が何十万円も変わることがあります。
この記事では、海外で働く間の医療費と保険について整理します。
海外に長期で滞在する場合、住民票を日本に残すか、転出届を出して抜くかを選ぶことになります。ここで使える医療の制度が変わります。
| 住民票を残す | 住民票を抜く(転出届) | |
|---|---|---|
| 国民健康保険 | 加入を継続(保険料の支払いも継続) | 資格を失う |
| 海外で受診したとき | 海外療養費の申請ができる場合がある | 公的保険からの給付なし |
| 住民税 | 課税の対象になる | 扱いが変わる(要確認) |
| 国民年金 | 継続 | 任意加入を選べる |
どちらが得かは、滞在期間と収入によって変わります。短期なら残す、長期なら抜くという選び方が多いようですが、税金の扱いも同時に変わるため、税金の記事とあわせて考えてください。
住民票を残して国民健康保険に加入したままであれば、海外で急な病気やけがをしたときに海外療養費を申請できる場合があります。
ただし、ここに大きな落とし穴があります。支給額は「日本国内で同じ治療を受けた場合の費用」を基準に計算されます。
つまり、医療費が日本より高い国で治療を受けた場合、差額は自己負担になります。アメリカのように医療費が非常に高い国では、実際に払った額のごく一部しか戻らない、ということが起こります。
さらに、申請には現地の診療内容明細書や領収書が必要で、いったん全額を自分で立て替えるのが前提です。手元に現金がないと、そもそも治療を受けられません。
「海外旅行保険に入っておけば大丈夫」と思われがちですが、ここは慎重に確認してください。
多くの海外旅行保険は旅行を前提にしています。渡航の目的が就労である場合、補償の対象外になったり、加入自体ができなかったりする商品があります。
契約前に、少なくとも次の点を保険会社に確認してください。
とくにキャッシュレス提携の有無は重要です。提携がないと、いったん全額を立て替えることになります。
求人票を見ると、まれに医療関係の記載があるお店もあります。応募のときに、あわせて聞いておくとよいのはこのあたりです。
最後の項目は見落とされがちです。日給制・時給制のお店の場合、休んだ日はそのまま収入が減ります。寮費が日額で引かれるお店なら、休んでも寮費はかかります。このあたりを先に知っておくと、無理をせずに休む判断ができます。
① 住民票をどうするか決める(市区町村の窓口で相談できます)
② 保険を決める(就労目的で加入できるかを確認)
③ 常備薬を用意する(普段飲んでいる薬は現地で同じものが手に入らないことがあります)
④ 現地の日本語対応病院を調べておく
⑤ 医療費用の現金を別に確保する(立て替えが前提のため)
⑤について補足します。これは帰国できるお金とは別枠で考えてください。帰るお金を医療費で使ってしまうと、身動きが取れなくなります。
「自分の場合はどうすればいいか」が分からないときは、LINEでご相談ください。分かる範囲でお答えし、専門の窓口が必要な場合はそちらをご案内します。
渡航前の確認事項は契約・条件チェックリスト15項目にもまとめています。
※本記事は一般的な制度の説明です。制度は変更される場合があり、個別の事情によって取り扱いが異なります。実際の手続きは、お住まいの市区町村・保険会社・専門家にご確認ください。
制度は変わります。手続きの前に、必ず下記の一次情報と、お住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
上記リンクの最終確認日:2026年8月18日。リンク先の内容そのものは、掲載時点で編集部が到達を確認したものです。制度の解釈については専門家にご確認ください。
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